2024年5月 7日
厚生労働省が2024年2月に睡眠指針を9年ぶりに改訂しました(「健康づくりのための睡眠ガイド2023」)。睡眠は、心身の疲労を回復し、健康を保持・維持するために欠かせない休息活動です。日本人の平均睡眠時間は他国と比べると短いという調査結果も報告されています。
今回は、良質な睡眠のためのポイントについてご紹介します。
令和元年国民健康栄養調査の結果によると、20~59歳の労働世代において、睡眠時間が6時間未満の人が約35~50%を占めています。
慢性的な睡眠不足は日中の眠気や意欲低下・記憶力減退だけでなく、体内のホルモン分泌や自律神経にも大きな影響を及ぼすことが近年の研究で明らかになっています。
例えば、睡眠時間が短いと、食欲を抑えるホルモンが減少し、逆に食欲を高めるホルモンが増えるため、食欲が増し、肥満につながってしまいます。
さらに、血糖値を上昇させるホルモンが過剰に増えることで糖尿病の危険性が高まることや、交感神経(自律神経のうち、体の機能を活性化させる神経)の緊張により、血圧が高くなることもあります。
健康づくりのための睡眠ガイド2023では、おおよそ6~8時間が適切な睡眠時間と考えられ、1日の睡眠時間が少なくとも6時間以上確保できるよう努めることが推奨されています。ただし、適正な睡眠時間には個人差があります。日中の眠気や睡眠で休息がとれているという感覚に応じて、自分自身はどのくらい睡眠が必要なのかをまずは意識することが大切です。
【ポイント①】日中にできるだけ日光を浴びる
起床時には室内に朝日をとりいれ、日中に光を多く浴びることで、体内時計が調整されて入眠しやすくなります。
【ポイント②】部屋は暗くすること・寝室にはスマートフォンやタブレットを持ち込まない
入眠時に部屋が明るいと睡眠の質が悪くなるため、できるだけ暗くして寝ましょう。
また、スマートフォンのLEDには、ブルーライトが多く含まれています。ブルーライトとは様々な光の中でもエネルギーの強い青色光といわれています。ブルーライトの刺激を受けると、脳は「朝だ」と判断することで、入眠を妨げてしまいます。就寝前はできるだけブルーライトを見ないようにする工夫のひとつとして、寝室にスマートフォンやタブレットを持ち込まないようにしましょう。
【ポイント③】寝室の温度を調整し、就寝1~2時間前に入浴する
季節に応じて暑すぎず、寒すぎない適温に調整しましょう。夏はエアコンを使用して、室温を涼しく維持します。冬は室温が低下するため、寝具等で寝床内を温かく維持しましょう。
また、いくつかの実験研究より就寝の1~2時間前に入浴した場合はしなかった場合と比べて速やかな入眠が得られることが分かっています。
【ポイント④】できるだけ静かな、リラックスできる環境を心がける
騒がしい環境は眠りを妨げます。テレビをつけたまま寝る方もいるかもしれませんが、できるだけ静かな環境を整えることで睡眠の質を高めることにつながります。
参考:健康づくりのための睡眠ガイド2023、へるすあっぷ21 2024.4、e-ヘルスネット
(健康づくり推進部 横山 理恵 2024.5)