2024年2月 1日
慢性腎臓病(CKD)という病気をテレビやラジオでよく耳にする機会が増えました。日本では成人の約8人に1人の患者さんがいると推定されています。慢性腎臓病は、初期症状がほとんどないまま徐々に悪化していきます。腎臓の機能は、病気がある程度進行してしまうと元に戻りませんが、早期発見・早期治療により、回復させることができます。今回は、慢性腎臓病とその予防についてお伝えします。
腎臓は、尿を作る、体内の水分量を一定に保ち、身体のむくみを防ぐ、ホルモンバランスを整えることで、貧血を防ぐ、血圧を一定に保つ等の役割があります。
慢性腎臓病は、上記のような腎臓の働きが低下した状態が3か月以上持続していることの総称です。重症化すると、人工透析を必要とする「末期腎不全」や狭心症、心不全、脳梗塞などの心血管疾患を引き起こす危険性が高くなります。
慢性腎臓病は、高血圧、脂質異常症、糖尿病、肥満など生活習慣病と関連しています。ちなみに、人工透析療法を開始する原因の第1位は糖尿病です。
慢性腎臓病では自覚症状が出にくく、健診での尿検査や血液検査にて異常値が出ていないかを確認することが重要です。
検査項目 | 検査の意味 | 基準値 |
---|---|---|
蛋白尿 | 尿中にたんぱくが含まれているかを検査します。 たんぱくは、正常な場合ほとんど尿中に出ず、身体に再吸収されます。 |
(-) |
血清クレアチニン | クレアチニンは腎臓でろ過され、尿から排泄されます。腎臓の機能が悪化し、尿への排泄量が低下すると、血清クレアチニン値が上昇します。 | 0.70mg/dl未満 |
eGFR | 血清クレアチニン値をもとに、計算式から出された糸球体ろ過量です。腎機能障害が進行すると数値は低下します。 | 60.0ml/min/1.73㎡以上 |
健康診断で、要精密検査や要経過観察の結果が出た場合には、必ず内科・泌尿器科を受診しましょう。毎年同じ結果だとしても、徐々に腎機能低下が進んでいる場合もありますので、必ず健康診断の結果に従った行動をとりましょう。
①減塩を心がける
日本人の食事摂取量基準では、1日の塩分摂取の目標量は男性で7.5g未満、女性で6.5g未満です。高血圧や糖尿病等で治療されている方は1日6g未満を目標にしましょう。外食では塩分が多くなりがちのため、前日と翌日で塩分を調整するなど工夫をしましょう。
②良質なたんぱく質をバランスよく摂りましょう
たんぱく質は適切な量を摂ることが大切です。1日あたり手の平で3~4つ分が目安量です。卵や魚介類、乳製品などがおすすめです。
③適度な運動
慢性腎臓病は、糖尿病・高血圧・肥満などの生活習慣病から悪化する人の割合が増えています。これらの生活習慣病予防のために、ウォーキング等でからだを動かすことが重要です。まずは普段の歩数を確認し、そこから1日500~1,000歩増やすことから始めてみましょう。
筋肉量を維持するために、スクワット等の筋力トレーニングも実施することがおすすめです。
*かかりつけ医がいらっしゃる方は、
食事内容や運動内容について主治医に確認しましょう
参考:公益財団法人日本腎臓財団HP・一般社団法人日本腎臓財団
(健康づくり推進部 菊地 香 2024.2)