2023年11月 1日
膵臓は胃の裏側あたりにあり、「隠れた臓器」「沈黙の臓器」とも呼ばれ、病気が見つかりにくく、気付いたときには進行していることが多い臓器です。
近年、膵臓の病気が増加傾向にあります。早期発見により病気の進行を予防することが大切です。今回は膵臓についてご紹介します。
膵臓は食べたものを分解する作用のある「膵液」をつくります。膵液を十二指腸に分泌することにより食べ物を消化し、栄養分の吸収を補助しています。また、食べ物の消化では、炭水化物、脂肪やタンパク質を分解、消化して栄養の調整を行っています。
他にも、膵臓からは血糖値を上げる「グルカゴン」と、血糖値を下げる「インスリン」などのホルモンがでています。これらのホルモンによって、血液中の糖分の調整を行っています。
膵臓が悪くなると、腹痛や腰痛、食欲不振、体重減少、発熱、脂肪性の下痢などの症状が現れることがあります。代表的な病気は以下の2つです。
①急性膵炎・慢性膵炎
本来、膵液は食べ物を消化するのですが、この病気は膵液が膵臓を溶かしてしまい炎症を引き起こします。繰り返し炎症を起こすと膵臓が硬くなるような変化を起こし、働きが衰えてしまいます。急性膵炎では上腹部全体に激しい痛みが出ます。慢性膵炎では上腹部や背中の痛み、下痢、倦怠感などの症状があります。また、インスリンの分泌低下を来し、糖尿病になることがあります。原因としてもっとも多いのが多量飲酒です。
②膵臓がん
膵臓にできる悪性腫瘍です。主な症状は腹痛や腹部違和感、食欲不振、体重減少などがありますが、特徴的な症状がないことから早期発見が難しいとされています。喫煙や糖尿病、慢性膵炎などが発がんリスクと関連していると言われています。
①バランスのよい食事
主食・主菜・副菜をそろえた食事を腹八分目にすることが大切です。特に脂肪や糖質の多い食事、辛いものなどの刺激の強い食事は避けるようにしましょう。
②節酒
お酒は適量を守り、週に1、2回休肝日を設けましょう。(お酒の適量:ビール500ml、日本酒1合などで女性はこの半分です。)
お酒の量を調整する「節酒」を長い間続けることが難しい人は、お酒を一滴も飲まない「断酒」を決意することが重要です。
※定期的に健康診断を受けましょう
膵臓が悪くなっていても初期は症状が現れないことが多いため、定期的に健康診断を受けて、中性脂肪(基準値149mg/dL以下)や空腹時血糖(基準値99mg/dL以下)など、自分自身の状態をチェックしましょう。
参考:日本消化器病学会
(健康づくり推進部 田巻 望 2023.11)