2023年2月 1日
大人になってから発症する食物アレルギーが増えています。成人の食物アレルギーは、症状の現れ方や発症メカニズムが多様で、思いもかけない原因で発症することもあります。
そこで、その特徴や対策のためにはどのようなことを知っておくとよいかをご紹介いたします。
また、慢性的なアレルギー症状・アレルギー様症状のある方は、普段の食事や市販薬の服用など、今あたりまえだと思っている生活習慣を見直してみてはいかがでしょうか。
子供と大人では、食物アレルギーの原因となる食品が異なり、子供は鶏卵や牛乳、小麦などの食品。大人は果物・野菜などの食品が原因になっています。
【果物・野菜】
口・唇・喉などの腫れやかゆみを生じ、全身性の症状は起こらないことが多い。ただしアレルゲンの種類によっては、瞼が腫れたり重篤な症状を引き起こすことがあります。
【小麦】
① 幼児期に発症した小麦アレルギーを持ち越している場合
② 小麦に含まれるω5グリアジンによるもの
③ 加水分解小麦によるもの
成人の小麦アレルギーには主に上記①~③のタイプがあると言われ、②が日本の成人小麦アレルギーの90%以上を占めています。小麦を摂取しただけでは症状は出ませんが、摂取後2時間~最大4時間以内に運動をした場合にアナフィラキシーを起こすと言われています。
【甲殻類・魚類】
① 甲殻類・・・原因不明ですが、子供の頃はアレルギーがなかった食物に対して、大人になって食べていくうちにアレルギーを発症したり、皮膚、粘膜、気道からアレルゲンが取り込まれることによって発症すると言われています。
② 魚 類・・・魚そのもののアレルギーで起こることは少なく、魚に寄生しているアニサキスのアレルギーか、ヒスタミン中毒であることが多いと言われています。また、魚コラーゲンを含有する化粧品などの使用で発症することがあります。
食物アレルギーの基本的な対処法は、正しい診断に基づいて食物除去をする。つまりアレルゲンが含まれている食物を食べないことです。しかし、栄養状態や生活の質を悪くしないよう、食物除去は必要最低限にするようにしましょう。
【果物・野菜】
果物や野菜のアレルゲンは熱に弱いものが多く、加熱することで問題なく食べられることがあります。また軽い口腔症状なら、少量を食べても、問題はありません。
【甲殻類・魚類】
ごく小さなエビやカニが、しらすや海苔、魚のすり身などに混入していることがあるので、厳密に除去する必要がある人は注意してください。
【小麦】
日本の成人小麦アレルギーの最も多い「②小麦に含まれるω5グリアジンによるもの」では、「パン、麺類を1人前食べる」とアナフィラキシーを起こす危険度が高いとされています。また、味噌、しょうゆ、麦茶、ビールなどは、基本的には症状を起こさないと言われています。
参考:へるすあっぷ21 2022.7月「大人の食物アレルギーにご用心!」
(健康づくり推進部 長嶋 信子 2023.2)