2020年11月 4日
健康トピックス
COPDを予防しましょう
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COPD(慢性閉塞性肺疾患)という病気を聞いたことはありますか。COPDは肺の生活習慣病とも呼ばれており、日本人の患者数は500万人以上いると言われています。今回は、COPDの仕組み・症状や原因、予防についてご紹介します。
COPDの仕組み・症状
COPDは、気管支や、気管支の末梢の空気を溜めるブドウの房のような肺の組織(肺胞)が、たばこの煙などの有害物質に長年さらされることで慢性的に炎症が起こり、やがて破壊されていく病気です。肺胞の壁が壊れてしまうと、風船が膨らみきったような状態になり、十分に息を吐くことができず、酸素と二酸化炭素のガス交換がしにくくなって息苦しさを覚えるようになります。 特徴的な症状は、歩行時や階段昇降など、身体を動かした時に息切れを感じる労作時呼吸困難や慢性の咳や痰です。喘鳴(ぜいぜいすること)や発作性呼吸困難(ぜんそくの様な症状)を合併する場合もあります。
COPDの原因
COPDは原因の9割が喫煙で、喫煙者の15~20%がCOPDを発症するといわれています。「1日の喫煙本数×喫煙年数」から算出される喫煙指数が200を超えたら危険ゾーンです。たばこの煙の副流煙を間接的に吸い込む「受動喫煙」でも発症する危険性があります。また、小児期に呼吸器感染症を繰り返した方、喘息を患っていた方は呼吸機能が弱くCOPDになりやすいといわれています。
COPDを予防・悪化させないために
① 喫煙者の方は禁煙をし、非喫煙者の方はたばこの煙を避けましょう たばこには200種類以上の有害物質が含まれているといわれています。禁煙をしない限り、肺へのダメージは続いてしまいます。
禁煙をすると、呼吸機能の低下を防ぐことができ、咳や痰の症状が出にくくなるといったメリットがあります。
また、副流煙は主流煙に比べて有害物質が多く含まれているため、喫煙者の方は決められた場所でたばこを吸うことはもちろん、非喫煙者の方はたばこの煙を避けましょう。
② 身体を動かす習慣を作りましょう 適切な呼吸法で運動をすると、深い呼吸ができるようになり、息苦しさが軽減します。
息切れを緩和する基本動作に口すぼめ呼吸があります。口を閉じて鼻から息を吸ったあと、口をすぼめて時間をかけて(吸う時の2~5倍くらいで)息を吐きます。これにより肺に溜まった空気を効率よく吐き出すことができます。
平地で歩くときは、初めの2歩で鼻からゆっくり息を吸い、次の4歩で口すぼめ呼吸をしながらゆっくりと息を吐きだすことがポイントです。
③ 健診・人間ドックを受けましょう 胸部X線検査では、肺のサイズや形を主に観察することができます。通常よりも大きい場合は過膨張がおこっている可能性が高く、COPDが疑われます。
人間ドックではスパイロメータという機器で呼吸機能をみる検査があります。空気をどれだけ吸い込めるか(肺活量)や、最初の1秒間で空気をどれだけ吐き出せるか(1秒量)を測定します。%1秒量は、1秒量が同年代で同性の健康な人と比べて何%に相当するかを表したものです。
参考:日本呼吸器学会HP、へるすあっぷ21 2018.9
(健康づくり推進課 菊地 香 2020.11)