新潟ウェルネス - 健康診断と人間ドックの新潟県労働衛生医学協会

新着情報

2020年7月 1日

健康トピックス

非アルコール性の脂肪肝について

>>印刷用PDFファイル

 肝臓の健康を害する大きな要因は、過度の飲酒が主な原因だとイメージしている方は多いのではないでしょうか。しかし近年、アルコールをあまり飲まない人におこる脂肪肝が注目されており、この脂肪肝の中には、肝炎や肝硬変、肝臓がんに進行する悪性のタイプ(NASH)があることがわかっています。今回は、NASHの原因や予防についてご紹介します。

脂肪肝とは

肝臓には、体のエネルギー源となる栄養素を脂肪に変えてため込む働きがあります。その脂肪が肝臓の細胞に過剰にたまった状態が脂肪肝です。

alt

〈NASHを放置すると〉

 肝臓に脂肪分がたまっている状態では血流が悪くなり、酸素や栄養がいきわたらなくなって肝機能が低下します。この状態を放置すると肝臓に炎症が起こり、肝細胞が破壊されます。これが脂肪肝炎の状態です。やがて肝臓が硬くなる肝硬変になり、さらに悪化すれば肝臓がんになります。NASHを放置すると5年で1割、10年で2割が肝硬変に進行するといわれています。

NASHの原因と予防対策

NASHになる原因は、食べ過ぎや運動不足により、摂取エネルギーが消費エネルギーを上回り、余分なエネルギーが脂肪として肝臓に蓄えられるためです。

〈予防のポイント〉

・食事は腹八分目を基本とする
ゆっくりよく噛んで食べることで、お腹いっぱい食べなくても満足感を得ることができ、食事量を減らすことができます。その結果、摂取エネルギーが減り、肝臓に脂肪がたまりにくくなります。
・甘いものは控える
甘いもののとり過ぎは中性脂肪を増加させ、脂肪肝を招きます。甘い食べ物を控えたり、飲み物は水、緑茶、麦茶など無糖のものを選びましょう。
・夜の食事は控えめにする
夜に食事を多くとると、摂取エネルギーが消費しきれず、肝臓に脂肪がたまりやすくなります。夕食は控えめにし、夜食はとらないようにしましょう。
・有酸素運動を日常生活に取り入れる
ウォーキングや自転車こぎなどのほか、ふだんから意識して「速歩き」をするなど、日常生活の中に運動の習慣を取り入れるようにしましょう。有酸素運動は、脂肪をエネルギーとして燃やすため、肝臓の脂肪が減りやすくなります。
・筋トレをする(無理のない範囲で)
スクワット、腹筋運動、腕立て伏せなど、自分が取り組みやすい筋トレを、無理のない範囲で行いましょう。筋トレで筋肉量を増やすことで基礎代謝があがり、脂肪を燃焼しやすくなります。また、肝臓の働きの一部が筋肉で補われるため、肝臓は脂肪の処理を行えるようになります。

脂肪肝は、ほとんどの場合、自覚症状がないので、早期発見のためには健康診断などの検査を受けることが欠かせません。健康診断の血液検査には、肝機能を示すALT(GPT)、AST(GOT)、γ‐GT(γ‐GTP)という3つの項目があります。健康診断で「再検査・二次検査が必要」と判定された方は放置せず、必ず検査を受けましょう

二次検査のご案内ページへ

参考:ヘルスアップ21 2018.8、きょうの健康 2019.11
(健康づくり推進課 関口郷子2020.7)