2020年3月 4日
私たちの身体は加齢とともに老化します。骨も例外ではありません。中高年以上の女性の骨折は、骨粗しょう症が原因であることが多く、骨折すると寝たきりや認知症につながる危険性が高まります。
今回は、骨粗しょう症についてご紹介します。
骨粗しょう症とは、骨量が減って弱くなり、骨折しやすくなる病気です。健康な骨では、古くなった骨を壊す「破骨細胞」と、新しい骨を作る「骨芽細胞」がバランス良く働いています。このバランスが崩れ、骨を壊す働きのほうが骨をつくる働きより大きくなると、骨粗しょう症が起こります。
骨粗しょう症になっても痛みは特にありません。しかし、転倒などのちょっとしたはずみで骨折しやすくなります。骨折が生じやすい部位は、背骨、手首の骨、太ももの付け根の骨などです。
骨折が生じると、その部分が痛くなり、動けなくなります。また、背中や腰が痛くなった後に、丸くなったり身長が縮んだりします。症状があるときは、整形外科の受診が必要です。
① 高齢者
食事の量が減りがちで、骨に必要な栄養素を吸収する力も低下するため、骨が弱りやすくなります。
② 閉経後の女性
女性ホルモンの一種であるエストロゲンには骨を壊す働きを抑える効果がありますが、閉経後はその分泌量が急激に減るため、骨密度が低下します。
③ 特定の病気がある
糖尿病、慢性腎臓病、関節リウマチなどの病気があると、骨粗しょう症が起きやすくなります。
④ 家族の誰かに骨粗しょう症がある
特に母親が太ももの付け根を骨折したことがある人は、体質や食生活が似ている可能性が高いと考えられ、将来、同じような骨折を起こす可能性が高くなります。
⑤ 喫煙や過度の飲酒をする、運動不足である
⑥ ほかにも若いころに過度なダイエットをした人や痩せ型の人は、十分に強い骨がつくられていない可能性があります。
① 骨の主成分であるカルシウムを多くとりましょう
乳製品、野菜(小松菜、チンゲン菜、切り干し大根など)、海草類、小魚、卵など
② カルシウムの吸収を助けるビタミンDを積極的にとりましょう
ビタミンDは、カルシウムの効率的な吸収を助ける働きをしています。
魚(さけ、さんま、まぐろなど)、きのこ類(エリンギ、まいたけ、きくらげ、干ししいたけなど)
③ 日光を浴びましょう(1日30分~1時間程度)
皮下脂肪には、ビタミンDのもとになるコレステロールの一種が含まれており、このコレステロールに紫外線が当たると、ビタミンDが合成されます。
④ 骨に負荷のかかる運動を心がけましょう
骨にかかる力が大きく、また繰り返しが多い運動ほど骨を強くします。(縄跳び、ジョギングなど)
ただし、足元がふらついたり、バランスを崩しやすくなっている人、最近一年間に転倒したことがあ
る人は要注意です。まずは安全な運動で足腰を鍛えることから始めましょう。
骨粗しょう症の予防対策をするためには、自分の骨の現在の状態を知ることも大切です。骨の強さを知る指標が「骨密度」です。骨密度検査は、自治体の骨粗しょう症検診などで受けることができます。
※当会でも骨粗しょう症検診を受けることができます。ご希望される場合は、人間ドックや健康診断と併せてご予約下さい。
参考:厚生労働省『NHKテキストきょうの健康2019年12月号』
(健康づくり推進部 関口 郷子 2020.3)