2019年7月 3日
健康トピックス
糖尿病の合併症について
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2016年の国の調査では、成人の4人に1人が、糖尿病もしくは予備軍であると推計されました。しかし、糖尿病が強く疑われる方のうち、約3割の方が治療を受けていません。血糖値が高い状態を放っておくと、さまざまな合併症が起こってきます。今回は糖尿病の合併症についてのお話です。
糖尿病が引き起こす合併症
高血糖の状態が長引くと、血管は次第に傷んでもろくなります。初期には自覚症状がありませんが、放っておくと合併症により、日常生活に重大な影響を及ぼすようになります。合併症は、血液が高血糖状態になることで起こる血管障害が原因です。
糖尿病の合併症には、細い血管が傷ついて起こる三大合併症と太い血管の障害が代表的です。
< 1 > 細い血管の障害(三大合併症)
- 糖尿病網膜症
目の網膜は、物を見るための神経が広がっており、細い血管が無数にあります。この血管の障害により、網膜が引き剥がされ、視力が著しく低下したり、失明する場合もあります。
- 糖尿病性腎症
腎臓には、細い血管が糸くずのように丸まった糸球体が無数にあります。血管が傷つき、糸球体が少しずつ壊れていくことにより、老廃物や塩分や水分などが十分に排泄されなくなり、進行すると人工透析が必要になります。
- 糖尿病神経障害
神経を養っている血液の流れが悪くなり、神経に十分な栄養や酸素が送られなくなることで障害が起こります。足の指や足の裏のしびれ、痛み、感覚麻痺といった症状のほか、胃もたれ、便秘、下痢、立ちくらみなどが起こります。
痛みの感覚が鈍くなると、足の指先をけがをしたのに気づかず、傷口から感染が起こり、指が腐って真っ黒になる「壊疽(えそ)」を起こし、切断することもあります。
< 2 > 太い血管の障害
- 脳梗塞
脳の血管に動脈硬化が起こると、脳梗塞のリスクが高くなります。脳梗塞が起こる危険性は、糖尿病でない人に比べて2~4倍高いといわれています。
- 狭心症・心筋梗塞
心臓の血管に動脈硬化が起こると、狭心症や心筋梗塞などのリスクが高くなります。心筋梗塞が起こる危険性は、健康な人の約3倍で、はっきりした自覚症状がないのが特徴です。
- 末梢動脈疾患
足の太い血管に動脈硬化が起こり、血液の流れが悪くなって歩行が困難になります。悪化すると、痛みで歩けなくなり、やがて壊疽(えそ)を起こします。
健康診断の結果を放置しないで
糖尿病の合併症を予防するためには、健康診断を受け、健康診断の結果を放置しないことです。
B判定:わずかに所見をみとめますが、日常生活に差し支えありません。
C判定:生活習慣を改善し、3~4ヶ月後に再検査を受け、結果を確認してください。
D2・D1判定:内科もしくはかかりつけ医でなるべく早く精密検査・指導を受けてください。
参考:平成28年国民・栄養調査、NHKテキスト きょうの健康(健康づくり推進部 丸山 要子 2019. 7)