2017年3月 1日
腸は、食べ物の消化・吸収・排泄など消化器官としての働きの他、肥満、脈硬硬化、精神疾患など全身の健康とも深く関わっていることが最近の研究で明らかになり、腸の重要性が改めて見直されています。今回は、腸の健康を保つポイントを紹介します。
腸を健康にするためには、腸内細菌のバランスが大切です。腸内細菌には、健康に有益な「善玉菌」と有害な「悪玉菌」の他、体調によりどちらにもなる「日和見菌」があります。高脂肪の食事、抗菌薬の内服、ストレス、加齢などは、腸内細菌のバランスを悪化させる要因といわれています。
善玉菌 | 日和見菌 | 悪玉菌 |
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乳酸菌、ビフィズス菌等 | バクテロイデス、大腸菌(無毒株)、連鎖球菌等 | 大腸菌(有毒株)、ウェルシュ菌、ブドウ球菌等 |
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健康なときはおとなしくしていて、抵抗力が低下するなど、何らかのきっかけで悪い働きをするようになる。 |
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最近の研究で、意外な病気が腸内細菌と関連していることが分かってきました。例えば、ある種の腸内細菌が少ないと太りやすくなることや、ある種の腸内細菌がつくる物質は動脈硬化と関連していること、また、腸内細菌のバランスが崩れるとアレルギー性疾患が起こりやすくなること、自閉症の子供は腸にトラブルがみられるケースが多く、抗菌薬の治療で自閉症の症状に良い変化がみられたことなどが報告されています。このような病気との関連についてはまだまだ分からないことも多いようですが、腸内細菌のバランスを保つことは、全身の健康とも深く関わっていると考えられています。
※参考:きょうの健康2016 8月号