2019年1月28日
記憶に新しいことと思いますが、2017年のノーベル生理学・医学賞は、体内時計を生み出す遺伝子とそのメカニズムを発見したアメリカの3人の研究者に贈られました。近年、体内時計が正確なリズムを刻めなくなることで、さまざまな体調不良が起こり社会問題となっています。
そのため、これらの問題を解決することを期待し、盛んに研究が行われています。
今回は、体内時計の働きと睡眠と生活習慣病との関係についてご紹介します
一定の周期を持った、体内のさまざまな働きを生体リズムといいます。生体リズムは、脳にある体内時計の働きにより作られています。生体リズムの中で注目されているのは、1日を周期とする日内リズム(概日リズム)です。体内時計の日内リズムは、1日約25時間であり、太陽リズムの1日は24時間です。体内時計は、この約1時間のずれを、日々調整しながら機能しています。
すなわち、このずれを解消するために起床時、日光を浴びたり(光刺激)、朝食を食べたりすることなどで、体内時計が早まり、24時間に調整されるようになっています。
仕事や睡眠といった目に見える変化だけでなく、朝が来ると血圧と心拍数が上がり始め、昼には血中へモグロビン濃度が最も高くなります。夕方には体温が上がり、夜には尿の流出量が多くなります。真夜中には、免疫を担うヘルパーT細胞の数が最大になり、成長ホルモンがさかんに分泌します。
夜間など不適切なタイミングで光刺激を受けると、体内時計のずれは大きくなり、正確なリズムを刻めなくなります。私たちは、24時間体制で勤務していたり、寝る前までパソコンやスマートフォンを使用することもあります。このずれを修正することができない状態が続くと、望ましい時間に入眠し、覚醒することができなくなり、眠気や頭痛・倦怠感・食欲不振などの不調が現れてきます。時差ぼけや交代勤務による睡眠障害や、深夜にならないと寝付けず昼頃まで起きられないという睡眠パターンが固定してしまうこともあります。
睡眠の問題は、睡眠習慣と睡眠障害の2つに分けられます。質の悪い睡眠は、生活習慣病のリスクを高め、かつ症状を悪化させることが分かっています。
1.睡眠習慣
睡眠不足は、1日の眠気や意欲低下・記憶力減退などの精神機能の低下を引き起こすだけでなく、体内ホルモン分泌や自律神経機能にも大きな影響を及ぼします。慢性的な寝不足状態にある人は、糖尿病や心筋梗塞や狭心症などの生活習慣病に罹りやすいと言われています。
2.睡眠障害
睡眠障害もまた、生活習慣病に深く関わっています。睡眠時無呼吸症候群や不眠症の人は、高血圧・虚血性心疾患・脳血管障害などに罹りやすくなります。
※睡眠問題は静かに、確実に心身の健康を蝕みます。睡眠習慣の問題や睡眠障害を放置せず、ご自分の睡眠状態に疑問を感じたら主治医もしくは睡眠専門医に相談してみましょう。
参考:厚生労働省 生活習慣病予防のための健康情報サイト
( 健康づくり推進部 関口 郷子 2019.1)