2023年3月27日
(一社)新潟県労働衛生医学協会は、人間ドック、健康診断、保健指導など健康増進事業を展開しています。この度、全国的にも珍しく新潟県内初となる、腎臓病の早期発見につながる精度向上を目的とした「尿中アルブミン検査」を令和5年度の人間ドックから基本項目に導入することといたしました。
この検査項目導入は、当会の腎臓専門医、糖尿病専門医、循環器専門医にとっても待望の決断で、腎臓病はもちろん、糖尿病、心臓病なども早期発見でき、多くの方々の命や生活を守ることに繋がります。 ※病院などでは糖尿病性腎症を疑う場合のみ、保険収載が可能で検査することができます。
腎臓の働きが健康な人の60%未満に低下するか、あるいはタンパク尿が出るといった腎臓の異常が続く状態を言います。日本成人の8人に1人がCKDに罹患していると言われており、やがて腎不全となって人工透析、腎移植が必要となることに加え、心筋梗塞や脳卒中といった心血管疾患の重大な危険因子となる可能性もあります。
人工透析の医療費は1人当たり年間400~600万円と言われており、日本の年間医療費40兆円の約5%にものぼります。CKDの特徴として、自覚症状に乏しく早期段階で尿中に微量なアルブミンが出現するため、このアルブミンを感度良く検出し、早期に治療を促していくことが重要なのです。
新潟県人工腎臓透析実施状況調査によると、毎年700~800人が新規透析導入しています。当会の検討では、1割の方に尿中アルブミンが認められており、令和3年度人間ドック実績(約55,000人)から、約5,500人に尿中アルブミン出現の可能性があります。つまりCKD予備軍の状況です。
私たちは、上記予備軍の方々が1日でも早く生活改善、治療することで透析導入が防げると考え、尿中アルブミン検査を導入することにいたしました。尿中アルブミンは、腎臓だけではなく、糖尿病、心臓病との係わりも強いため、当会の腎臓専門医、糖尿病専門医、循環器専門医にとっても待望の検査項目です。
どんなに早期発見に有効な検査項目が導入されても、知らずして受診することはできません。自分もなり得る「慢性腎臓病」や予防に重要な検査の必要性を1人でも多くの方々に知っていただくことが当会の役目だと思い、臨床検査技師としてプレスリリースを書かせていただきました。
(一社)新潟県労働衛生医学協会
臨床検査部 松田和博 齋藤清美
TEL : 025-370-1022