胃がんは、胃の壁の最も内側にある粘膜内の細胞が、何らかの原因でがん細胞になったものです。
胃がん発生については、多くの研究が行われており、食生活などの生活習慣やヘリコバクターピロリ菌については、感染した人の全てが胃がんになるわけではありません。感染の有無にかかわらず、塩や高塩分食品の摂り過ぎや、野菜、果物が不足しないようにするなどの食生活への配慮が必要となります。
胃がんは、早い段階で自覚症状が出ることは少なく、かなり進行しても無症状の場合があります。代表的な症状は、胃の痛み・不快感・違和感、胸焼け・吐き気、食欲不振などがありますが、これらは胃がん特有の症状ではなく、胃炎や胃潰瘍の場合でも起こりますので、まず医療機関を受診することが重要です。
胃がんの罹患率・死亡率を年齢別にみた場合、ともに40歳代後半から増加し始め、男女比では男性の方が女性より高くなります。がんで亡くなった人数を部位別に多い順番に並べると、2020年のデータでは、男性が第2位、女性は第6位となっています。
早期の胃がんは多くの方が検診によって発見されています。症状の有無にかかわらず、早期発見のために毎年定期的に検診を受けることをお勧めいたします。
(独立行政法人国立がん研究センターがん対策情報センター がん情報サービスより)
①妊娠中または妊娠している可能性のある方
②バリウム製剤による過敏症(アレルギー等)の既往歴のある方
③過去1年以内に、手術をされた方または心筋梗塞・脳梗塞等の疾患を発症したことがある方
④消化管の閉塞(腸閉塞・腸ねん転・ヘルニアなど)の既往またはその疑いがある方
⑤腎臓病(人工透析)などで水分制限を受けている方
⑥心臓ペースメーカー等を装着されている方(X線による機器の誤動作を防ぐため)
⑦体重135kgを超える方
胃の検査方法として一般的なものは、「胃部エックス線検査」、「胃内視鏡検査」、「ペプシノゲン検査」、「ヘリコバクターピロリ抗体検査」です。
ピロリ菌ってなに?
正式名は"ヘリコバクター・ピロリ"
ヘリコとは「らせん」とか「旋回」という意味で「ヘリコプターのヘリコ」と同じです。ひげの部分を回転させて移動します。
バクターとは「バクテリア(細菌)」のこと。
ピロリとは「胃の出口(幽門)」をさす「ピロルス」に由来します。
ピロリ菌は胃の中にいる細菌で、胃潰瘍の約70~80%、十二指腸潰瘍の約90%に関わっていると考えられています。
ピロリ菌が直接胃がんを起こすのではなく、胃がんのできやすい環境になると解釈するのが妥当です。
ピロリ菌には日本人の約50%が感染しているといわれていますが、感染は衛生環境と関連しています。すなわち、衛生環境が悪いと人から排泄されたピロリ菌が飲み水や食べ物を汚染して次々と感染してしまいます。
感染するのは幼少期で、成人ではほとんど感染しません。したがって日本では最近の衛生環境の改善で若年者では感染率が低率ですが、高齢者ではその世代が幼少期にすでに感染しているため高率に感染しています。従って、今後日本でも感染者が減少すると期待されています。
現在、除菌療法が胃がんにかかるリスクを低くするという研究結果が集積されつつありますので、感染していることがわかれば、除菌療法が推奨され、定期的な胃の検診を受けることが勧められます。
補足:除菌治療の保険適応は、平成25年2月より胃・十二指腸に加え、ピロリ菌感染胃炎に対しても認められるようになりました。
試験方法 | 検体 | |
胃内視鏡検査を使わない検査方法 | (1)尿素呼気試験 | 呼気 |
(2)血中抗体測定法 ※当会オプション検査は、この方法で測定します。 |
血液 | |
(3)尿中抗体測定法 | 尿 | |
(4)便中抗原測定法 | 便 | |
胃内視鏡検査を使う検査方法 | (5)迅速ウレアーゼ試験 | 胃粘膜 |
(6)鏡検法 | 胃粘膜 | |
(7)培養法 | 胃粘膜 |