肺がんは、発生部位によって肺の中心部の比較的太い気管支にできる「肺門型肺がん」と末梢の細い気管支にできる「肺野型肺がん」の2つに分けられます。
「肺門型肺がん」は、早い時期からせき、たんなどの気管支の刺激症状や、がんの組織が崩れることで、痰に血が混じるなどの症状が出ます。がんが大きくなると気管支をふさぎ炎症を起こして肺炎を起こします。この時、せき、発熱、時に胸痛などの症状が出ます。さらに進行すると、肺に空気の出入りがなくなる無気肺という状態になり、その範囲が広いと呼吸困難になります。
一方、「肺野型肺がん」の特徴は、早期のうちは自覚症状がないことで、胸部エックス線写真を撮る以外に発見方法はありません。がんが進行して周囲の臓器に浸潤すると、胸痛や背部痛が現れます。さらに進行して周囲の組織を破壊したり、血液やリンパ液を通じて転移するようになると、症状はさらに広がり呼吸困難やリンパ節の腫れなども起こります。
肺がんは、細胞の形態から大きく分けると次の4つに分類されます。
エックス線は、骨や心臓などは透過しにくいですが、肺などは透過しやすいので、エックス線写真を撮ると、骨や心臓などは白く、肺は黒く写り、その形がよくわかります。
また、検査では肺がんの他にも肺結核や肺炎などの肺の病気や、心臓肥大、大動脈瘤なども見つけることができます。
どうして肺がんになるの?
肺がんの原因として、現在のところはっきりしているのは、喫煙です。喫煙者の肺がんリスクは、非喫煙者の4~5倍と言われていますし、喫煙量が1日20本以上と多いと10倍以上、喫煙開始年齢が早いとさらに増加します。また、受動喫煙によっても20~30%程度肺がんリスクが高くなると推計されます。
これ以外の原因として、食事の欧米化、大気汚染などともいわれていますが、疫学的にはっきりした証明がないのが実情です。