1回の採血で数十項目にわたる検査を行うことができます。血液検査には、主に3つの方法があり、それぞれ以下のような病気をチェックできます。
検査名 | 検査方法 | 見つかる異常・病気 |
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血液一般検査 | 赤血球や白血球の数や形など血液そのもののチェック | 貧血、心筋梗塞、肝硬変、白血病、免疫不全、感染症など |
血清学的検査 | 病気により発生した抗原抗体反応などの様子をさぐる | 肝炎、肝臓がん、肝硬変、心筋梗塞、悪性腫瘍、リウマチ、感染症など |
生化学的検査 | 血液中に含まれる、たんぱく質、糖質、酵素などの成分を検査 | 肝臓・胆道の病気、糖尿病、心筋梗塞、脂質異常症、甲状腺の病気など |
脂質異常症とは、血液中の脂質(コレステロールや中性脂肪)が正常範囲をはずれ、からだに悪影響を招く状態をいいます。
脂質異常症を放置しておくと、血管壁にLDLコレステロールが沈着して動脈硬化を悪化させる原因になります。
脂質異常症は遺伝的なものや病気が原因でなる場合もあります。しかし中高年に見られる大部分の脂質異常症は、遺伝的素因に加えて食生活の偏りからおこってきます。コレステロールの多い食品や、甘いものの食べ過ぎなどのエネルギーの過剰摂取と運動不足による肥満は、肝臓で造られるコレステロールや中性脂肪を増加させます。肥満した人に脂質異常症が多いのはこのためです。
ある一定量の血液中に含まれる赤血球、またはヘモグロビンが正常値以下に減少した状態をいいます。
原因の多くは「鉄不足」によるものです。ヘモグロビンはヘムとグロビンから成る複合タンパク体で、ヘムの成分の中に鉄が入っています。したがって、鉄が不足→ヘモグロビンができない→赤血球が小さくなったり、赤みが薄くなり、赤血球の役割、酸素を体内に運ぶはたらきにも支障が生じてきます。なお、鉄不足以外の原因で貧血になることもあります。
糖尿病は、血中の糖分量をコントロールする「インスリン」の量や作用が何らかの原因で不足し、高い血糖値の状態が続くことをいいます。すい臓のランゲルハンス島から分泌されているホルモンの一種「インスリン」の不足によって引き起こされる病気です。
下の表にある通り、この病気には、大きく分けて3種類があります。1型及び二次性糖尿病は残念ながら避けることはできませんが、全体の8割にものぼる2型糖尿病は、防ぐことができます。これは、たとえ遺伝的要素があったとしても、生活習慣をより良く保てれば予防できるのです。
また糖尿病には、網膜症、腎症、神経障害をはじめとする怖い合併症を引き起こすことがあり、これを起こさないように治療することが大切です。
①1型糖尿病(インスリン依存型糖尿病)
遺伝や生活習慣に関係なく、インスリンの分泌にトラブルが生じて発症するもの。治療としては食事療法のほか、インスリン注射が欠かせない。
※全糖尿病の約2~3%
②2型糖尿病(インスリン非依存型糖尿病)
遺伝的な要素に、ストレスや肥満、運動不足などの生活習慣が重なって発症。治療は食事療法と運動不足の解消が主となる。
※全糖尿病の80%以上
③二次性糖尿病
インスリンを分泌するすい臓の病気や、ホルモンの病気、糖分を体に送る肝臓の病気など、他の病気の影響で発症。原因となった病気が完治すれば、糖尿病も治る。
※全糖尿病の約17~18%
痛風は、血液中の尿酸の濃度が高く(高尿酸血症)なり、その状態が長期間におよぶと足の親指の付け根などの関節に尿酸結晶がたまって炎症を起こし、激しい痛みや腫れを起こす病気です。初めは症状が多くは数日で治まりますが、放置しておくとやがて発作を繰り返し、次第に他の関節に広がっていきます。
尿酸は、細胞の核の中にある核酸が分解されてできる最終産物であり、燃えカスです。尿酸の大部分は腎臓の糸球体でろ過されて尿中に排泄され、残りは汗や便とともに排泄されます。しかし、体内でつくられる尿酸の量が排泄できる量を上回ったり、排泄器のが低下して体内に残ってしまうと、血液中の尿酸濃度が高くなり、痛風を引き起こすことになります。
慢性腎臓病は「新たな国民病」として最近非常に注目されている疾患です。そのまま放置すると徐々に腎機能が低下して透析や腎移植が必要となる「末期腎不全」に至る可能性が高い疾患です。
蛋白尿(微量アルブミン尿を含む)の有無と推算糸球体ろ過量(eGFR)で診断します。