新潟県は、何においても全国的に見ると中ごろにおり、乳がん検診の成績も、その傾向にあります。つまり、新潟県での問題点は日本の問題点でもあり、それを大きく分けると3つあります。
まず第1には、職域検診の精度が住民検診のレベルまで届いていません。消化器がんや肺がんの大半は、退職してからかピークを迎えるため、職域検診か、これまでがん検診には力を入れなくてもそれほど問題にならなかったわけです。
ところか、乳がんが女性がんのトップになり、その死亡率も働いている時期にピークを示しています。それなのに、働いているがゆえに、精度の高い住民検診を受けることができないのです。
つぎに第2として、検診で要精検といわれた人が、どこで精密検査を受けたら良いかがはっきりしていないことです。具体的に指定している県もあり、新潟県も早急に対策を講じなければならないと思います。
せっかく、精度の高い一次検診で超早期のがんを見つけても、それをがんと診断できない施設で、異常なしと言われてしまいます。「このような精度の逆転」が問題にあがっています。
第3番目に大事なことは、受診率です。全体が把握できる住民検診でいうと15%前後であり、新潟県は全国的には低い方に入るかもしれません。
職域検診も、それなりには乳がん検診はされていますが、超音波検診がマンモグラフィ検診より多いこと、あるいは、乳がんになる確率が極めて低い20歳代の人が含まれているなど、効果のある検診とは言えません。職域検診の法整備もふくめて、企業ももう少し真面目にがん検診に取り組む姿勢が欲しいと思います。