2022年2月 1日
今や国民の2人に1人が何らかのアレルギー疾患を持っているといわれており、アレルギー疾患で医療機関を受診する人は増加傾向にあります。その中で最も多いとされているアレルギー疾患がぜん息です。
今回は、現在増加傾向にある、成人のぜん息の特徴や、ぜん息の発作や悪化を予防する対策についてご紹介します。
ぜん息とは、急に空気の通り道となる気管支が狭くなってしまい、「ヒューヒュー」「ゼーゼー」し始めて呼吸が苦しくなる状態(いわゆる発作)を繰り返す病気です。
ぜん息の人の気道は慢性的に炎症を起こしており、健康な人に比べると空気の通り道が狭くなっています。そこに何らかの刺激が加わると、さらに気道が狭くなるため、激しい咳や息苦しさ、呼吸困難を伴うぜん息発作が起こります。
子どものぜん息では、9割以上にアレルギー(本来なら反応しなくてもよい無害なものに対して過剰に反応してしまう免疫反応)の関与が認められますが(アトピー型ぜん息)、成人のぜん息では、アレルゲン(アレルギーを引き起こす原因。例えばダニや花粉等)が発見できるのは6割程度です。残りの4割は、アレルゲンを発見できない非アトピー型のぜん息です。
小児ぜん息の持越しや、小児ぜん息がいったん治癒または寛解(長期間、無症状で無治療の状態)した後、成人になって再び発症することがあります。中高齢でのぜん息の70~80%以上が、成人後に発症しています。
ぜん息は、高血圧症や糖尿病と同じように長期に渡って付き合っていく必要がある病気です。とくに成人のぜん息は、非アトピー型が多いことや、ぜん息の悪化の要因(花粉、運動、気象の変化、大気汚染・煙、ストレスなど)が小児よりも多いため、ほぼ治らないと言われています。また、気管支のリモデリング(気道が狭い状態のまま、もとに戻らなくなる)が起こりやすいことも大きな要因です。
喫煙は呼吸機能を低下させ、ぜん息を悪化させます。さらに、喫煙によって治療薬の効きが悪くなることがわかっています。他人のたばこの煙を吸い込む受動喫煙も自分が喫煙するのと同じくらいぜん息に悪影響を及ぼします。
かぜやインフルエンザ、肺炎など呼吸器の感染症は、ぜん息を悪化させる大きな要因です。
メタボリックシンドローム・肥満は、ぜん息の悪化因子であり、発症因子であることがわかっています。内臓脂肪に含まれる脂肪細胞が、ぜん息を悪化させる物質を出すこと、気管支周辺の脂肪細胞のすき間に炎症を引き起こす細胞が集まることなどによって、ぜん息を悪化させます。
上記の3つの対策のほかにも、一人ひとりの要因に合った対策を併せて行っていく必要があります。日常生活において、どのようなときにぜん息が悪化したか、発作が出たかを振り返り、自分に合った対策をしていきましょう。そのためには、かかりつけ医を持ち、自分のアレルギーの原因アレルゲンを正確に診断してもらい、その対策をたてましょう。
参考:環境再生保全機構HP
(健康づくり推進課 関口郷子 2022.2)